「石油・天然ガスは地球内部で無機的に生成され続ける」とする無機起源説を見直す動きが出始めている。 従来の有機起源説では説明が難しい油ガス田の発見が世界各地で相次いだことに加え、米国科学アカデミーが上部マントルを再現した環境で無機的に油ガスを生成する実験に成功するなど、妥当性を裏付けるような事実が明らかになってきたためだ。仮に妥当ならば資源量は無限に近く、エネルギー情勢、世界経済は劇的に変わる。日本エネルギー経済研究所総合戦略ユニットの中島敬史・主任研究員は「資源開発の可能性が格段に広がる。常識にとらわれないオープンな議論を」と話す。 石油・天然ガスの起源については、地球の表面を覆う地殻の割れ目に土砂が流入して形成された堆積(たいせき)盆地の中で、太古の動植物が化石となり、熟成期間を経て油ガス化した、とする有機説が一般的。地殻は体積の95%が基盤岩で、堆積盆地はわずか5%。従って油ガ