話題の長編ドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ:Get Back』を観た経済学者のタイラー・コーエンが、改めて感銘を受けたポール・マッカートニーのある才覚とは──。 個人的に2021年のベスト映画だった『Get Back』は、ポール・マッカートニーの正当に評価されてこなかった一面を明示している。 ポールは天才アーティストだっただけでなく、前世紀で最も優れた経営の才能を発揮したひとりだったということだ。 リンゴ・スターが最近のインタビューでそのことをうまく言い表している。 「ポールがバンドにいなかったら、たぶんアルバム2枚作って終わりだっただろうね。俺たちは怠け者だったし。でもポールはワーカホリックだった。ジョンと俺が庭に座って木の緑でも眺めてると、電話が鳴って、『ようおまえら、中に入らないか? スタジオ入ろうぜ!』って具合だった」 『Get Back』は、リアリティテレビ番組的にこの過程を