「ダ・ヴィンチ・コード」が映画史上歴代2位の順調な滑り出しを見せている。レオナルド・ダ・ヴィンチが名画に託して伝えようとしたイエス・キリストの謎を追う原作の歴史ミステリー小説は、全世界で5000万部を突破する売れ行きを記録したのだから、映画の方も計画通りの立ち上がりと言っていい。 この映画、実は「小泉改革」とある種の共通点を持っている。複雑な物事の背景をすぱっと短い言葉で斬って、畳み掛けるように結論に導いていく。検証のために持ち出してくる資料や素材そのものは事実を含んでいるのだが、相反する膨大な証拠や資料の検証を抜きに、考える暇を与えず映像や音で本能に訴えかける。 小泉改革の本質が「テレビ時代の劇場型政治」なのだとすれば、「ダ・ヴィンチ・コード」の中で繰り広げられるのは、「映像時代のパフォーマンス型神学論争」にほかならない。国会のテレビ中継で民放のニュース番組も顔負けのフリップが使われるよ