映画「花よりもなほ」で印象的だったのは、主人公が、父親から囲碁をならった、ということをおもいだす場面だった。わたしは親から、なにかを教わったことがない。ほんとうに、なにも教えてくれない親だったなあ。わたしの父親はギターを弾けたが、八歳だったわたしが「教えてほしい」とたのんでも、むしろ逆に、「おまえ、俺からギターを教わろうってのか、このやろう。何様だよ」と叱られる始末で、結局、なにひとつ教わらないまま、わたしはおっさんになってしまった。なにしろ、子どもに時間を割くなどということが、いっさいない親だったもので、親になにかを教わっている子ども、というのは、それだけでうらやましいものがある。なにかひとつくらい、教わりたかったな。はんだごてとか、化石採掘とか、もう、なんでもよかったからさ。 習いごとにいかせるのは、またべつである。習いごとも、それはそれでたいせつだが、親が、これまでの人生で、実際に自