ふと、「カレーが食べたいな」とおもいたって、スーパーへ買いものにでかけるようなタイミングがある。カレーを作るぞ、というつよい意志に導かれて、スーパーへと向かうわけである。しかし、そこでどうにもてれくさいのは、かごに放り込んだ食材のラインアップだ。カレールーにくわえて、じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、肉、福神漬。これらをレジに出すのがとても恥ずかしいのである。まるわかりじゃないか。かごの中には、わたしの欲望がつまっている。心なしか、レジ係の人が口の端でわらっているような気がしてきてしまう。 「おや、今日はカレーですか。あなたはいかにもカレーが好きそうな顔をしていますね。皿までなめそうな感じがしますよ。さあ、この材料を持ってかえって、鍋いっぱいに作るといいでしょう。あっ、ごはんは三合ていど炊くといいかも知れませんね。なにしろ、腹ぺこ君なんでしょうから…」などと、すっかり侮蔑されているようだ。いい