〈回顧2008〉今年のクラシックを振り返る2008年12月17日 印刷 ソーシャルブックマーク ■財政危機に制度改革 正念場にこそ輝く志 びわ湖ホールや大阪センチュリー交響楽団をとりまく財政危機を筆頭に、不景気な話題が相次いだ。指定管理者制度に公益法人制度改革と、治外法権は許されぬとばかりに追いつめられる音楽業界だが、正念場だからこそ見えてくる志の高さもあると気付かされた1年だった。 びわ湖ホールは「ばらの騎士」と「サロメ」、二つのR・シュトラウス作品で気を吐いた。県の支出金1割カットに加え、休館すらとりざたされる騒ぎになったが、縦横無尽の活躍で周囲をもり立て、音楽での勝利を導いた芸術監督の沼尻竜典には心からの拍手を送りたい。 新国立劇場では、次期芸術監督の尾高忠明自身が納得いかぬままという不可解な交代劇。インテンダント(総裁)不在のまま官僚主導で動くという、歌劇場として世界的にも極めて特