日本の裁判所は「権力補完機構」 ーーこれはもう、「法の支配」とはおよそ無縁の、権力による統制システムそのものですね。「法の番人」の頂点にあるはずの最高裁判所の司法行政部門である最高裁事務総局のエリート裁判官たちが、「法の支配」を有名無実化する判決統制、思想統制の執行者になっている。これは、何というか、もう、ブラックジョークの極みですね。 瀬木 そうですね。 「法の支配」ではなく「人の支配」が行われているのが日本の裁判所なのだということは、本書でも、小説という枠組みをこわさない形で、明確に、詳細に描いています。 これは、欧米先進国の人間にはおよそ理解できないシステムでしょう。世界的にみても、いわゆる先進諸国で、こうした説明不能な奇怪な司法システムをもっている、もち続けている国は、おそらく、ほかには存在しないと思います。 韓国が、日本にならう形でよく似た制度を採っていましたが、民主化後、市民の