現代科学の弱点を指摘する際に「ホリスティック」や「関係」、あるいは「全体」というのを云々する人が今もしばしば見られます。それはまるで、科学はそこについて何も考慮せずに営まれているのである、と言わんばかりの「批難」です。 そういう人向けに、ここで一つ文章を置いておきます。 話がまたもや,ころっと変わって……。近年になって発生した重要な概念のひとつに‘システム’がある.「多くの要素が互いに関連を持ちながら,全体として共通の目的を達成しようとしている集合体」というような概念であり,たとえば,自動車交通システムといえば,各種の自動車はもちろん,道路,交通管制のための信号,標識,給油設備,運転手,各種の法令など自動車交通に関連するあらゆるものと,そして,それらの間の相互関係を全体として把えたものを指している.世の中が複雑化,多様化するにつれて,要素の個々に注目するのではなく,全体をシステムとして把握