ボン!という大きな音で、米粒が大きく膨らむポン菓子。産直所で見かけると、子どものおやつについ買ってしまう。最近はいろんな種類があり、専門のカフェもある。そのポン菓子をつくる国産第1号機は九州生まれだ。古くて新しいポン菓子の世界を探った。 ポン菓子は穀類を加熱して圧力をかけ、一気に減圧して膨らませたもの。1900年ごろ米国かドイツで機械が生まれたとされる。その国産機を開発したのは北九州市戸畑区の吉村利子(としこ)さん(89)。 大阪に生まれ、44年に国民学校の教師になった。当時は食糧も燃料も足りず、子どもたちはやせ細っていた。「消化のよいものを、おなかいっぱい食べさせてやりたい」。そんなとき、幼いころの光景を思い出した。 広場に「黒いバケモン」が来て大きな声で鳴いた。後から行くと膨らんだ米粒が落ちていた。口に入れると軟らかかった――。 吉村さんは後に図書館で調べ、それが外国製の穀類膨張機だと