2014年11月30日夜。ドイツ人たちは最初の待降節(アドヴェント)を迎え、静かにクリスマス・シーズンの到来を祝っていた。そこへ、青天の霹靂(へきれき)のようなニュースが飛び込んできた。 エーオン「解体」の衝撃 デュッセルドルフに本社を持つドイツ最大のエネルギー企業E・ON(エーオン)が、原子力発電と褐炭や石炭などによる火力発電事業を切り離して、別会社に担当させると発表した。本社は、再生可能エネルギーなど新しいビジネスモデルに特化する。これはドイツのエネルギー業界だけでなく、経済界そして欧州全体に衝撃を与えるニュースだ。 人々を驚かせたのは、今回発表された機構改革が極めて大規模で、エーオンという巨大企業を根本から塗り替えることだ。同社は基本的に2つに分割される。エーオンの社員数は現在6万人。そのうち4万人は本社に残って、再生可能エネルギー、新時代の送電網ビジネスである通称「スマートグリッド