文:小沼理、写真:有村蓮 小倉ヒラク(おぐら・ひらく) 発酵デザイナー。「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家や研究者たちと発酵や微生物をテーマにしたプロジェクトを展開。東京農業大学で研究生として発酵学を学んだのち、山梨県に発酵ラボを作り、微生物の世界を日々探求している。著書に『発酵文化人類学』(木楽舎)。その他、雑誌の発酵特集などにも多く携わる。 発酵って、いろんなレイヤーの面白さがある ——小倉さんは「発酵デザイナー」として活動されていますが、そもそも発酵に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか? 10年ほど前、僕はデザイナーとして働いていたのですが、仕事と夜遊びのしすぎで体を壊していました。その頃出会ったのが山梨の老舗醸造蔵の五味醤油の五味洋子さんと、その師匠である発酵学者の小泉武夫先生です。 小泉先生は、僕の顔を見るなり「