臨済宗相国寺・金閣寺・銀閣寺の住職、有馬頼底さんは、さまざまな悩み相談を受けると、「とにかく雑巾を持ってごらんなさい」と説くそうです。掃除といえば掃除機やモップがあたりまえで、掃除機ロボットや床拭き用のロボットまで普及しつつある昨今。わざわざ「雑巾」をもって掃除をすることには、どんな意味があるのでしょう? 雑巾がけの記憶 小中学生だった頃のことを、思い出してみてください。学校の時間割の中には掃除の時間が組み込まれていて、掃除のための雑巾も各自で持ち寄ったものでした。その雑巾で、机を拭く、窓を拭く、教室の床や廊下を拭く。絞り方が悪いと床に水分が残って滑りやすくなったり、あまり硬く絞り過ぎると窓ガラスの泥汚れなどが落ちにくかったり…一枚の雑巾をいろいろな場で使い回しながら、体験を通して使い方を覚えていったような気がします。そして、自分の手や身体を使って掃除をした後の気分は、なんとなく清々しいも