0. はじめに 0-1. おっさんずラブリターンズの最終回に添えて 「おっさんずラブリターンズ」が一週間のテンポを刻んでいた2ヶ月間が終わりを迎えた。金曜日、放送開始の5分前に慌ててお風呂から上がり、急いで体を拭いてスキンケアを雑に済ませていたあの時間が、やけに愛おしく思える。 この2ヶ月間、最新話を見ていない時間は全て、最新話を待っている時間と呼ぶことができた。何かが生活のテンポを刻むとは、そういうことである。 思えば、2018年のドラマ放送時も同じだった。若かりし同性愛者であった僕にこのドラマは、男同士が恋愛することは変ではなく、尊重されるべき愛のうちのひとつなのだと教えてくれた。このドラマがなかったら、自分のセクシュアリティを受け入れることもずいぶん遅れてしまっていたと思う。春田がみんなにとって太陽であるように、おっさんずラブという作品が僕にとっては太陽だった。 それから6年の月日を