うつ病を装い、社会保険事務局から健康保険の傷病手当金をだまし取ったとして、札幌市の詐欺グループ5人が1~3月、秋田県警に逮捕された。 申請には精神科医の診断が必要だが、事件に関与した疑いで事情聴取された男2人は、取材に対し「いとも簡単にだませた」と口をそろえた。 札幌市の市街地に立つクリニック。若い男が中年の精神科医に言った。「休職中です。眠れない、会社に行きたくないんです」 「大変だね」。医師はそう言ってカルテに症状を書き留めると、「薬で様子を見て」と精神安定剤と睡眠薬の処方せんを手渡した。診察は15分足らず。 2週間後、男は再び訪れ、傷病手当金の申請書への記入を頼んだ。医師は「抑うつ状態で就労困難」と記した。約1か月後、北海道社保局から約20万円の手当金が振り込まれた。 男がグループのリーダー、札幌市の輸入貴金属販売会社「アクア」代表の佐野剛被告(41)(詐欺罪で起訴)に誘われたのは2