「倉本さん、あなた本業に戻らないとだめだ」。長野県小諸市でイチゴの大規模栽培ハウスを経営する倉本浩行は、長年取引のあった地方銀行から2010年に言われた一言をいまも思い出す。そのころ会社は傾きかけていた。 父とともにイチゴの栽培に飛び込む 倉本がイチゴの栽培を始めたのは今から15年前。小諸市が農園とセットの温泉施設の建設を計画し、希望者を募った。電機メーカーに勤めていた倉本の父親にとって就農は長年の夢だった。 「これからは農業だ」という思いを捨てきれずにいた父親は当時、大学生だった倉本とともに、自宅で市役所の役人から説明を受けた。「おまえがやるなら、おれもやる。どうする」。父からそう聞かれた倉本は「やる」と即答した。サラリーマンにはならず、自分で何か事業をやりたいと考えていたからだ。 まずはイチゴの栽培について学ぶことから始めよう。そう考えた倉本親子は小諸市や長野県、地元の農協の関係者たち
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