[編集部注] 本企画の趣旨については、蟻川教授による下記解題をご覧ください。 (2012年12月6日午前11時30分) この稿の由来の一端について述べる。筆者は、これまで社保庁事件に関して複数の論稿を公にし、本誌・法学セミナー誌上に連載した「プロト・ディシプリンとしての読むこと 憲法」でも、最終回(2011年5月号)に控訴審判決を取り上げ、来るべき上告審判決へのつながりを意識した所見を記している。同連載を『憲法事例問題の解き方』(2013年、日本評論社)として単行本化する作業中の本年11月9日、来る12月7日に第2小法廷判決が言渡されることが予告されたため、筆者は、同判決を踏まえた補筆を迫られることとなった。ある敬愛する友人のとりはからいによりここに掲載の機会を得た本稿は、この補筆のための準備の一環である。それにしても、当の判決が下される直前に、その判決についての一文を草することは、