遂に特集した。僕が彼女を好きだと言うことは自分のアルバムが完成するまで誰にも言わなかった。言ったら魔法が解けてしまう気がした。 2000年代前半の僕は彼女の歌が全てだった。彼女のようになりたくて、彼女のように歌いたくて、彼女のように表現したくて、そして、そんな才能を持った彼女のことがとても疎ましくて、妬ましくて、悔しくて悔しくてしょうがなかった。大好きだけど、絶対に負けたくなかった。そして、毎日毎日彼女とまったく同じように僕は歌い続けて、いつか近づいてやる、いつか近づいてやる、と想いながら頑張った。僕の唯一のよりどころが彼女だった。だからこそ、そのことを決して他人に言わなかった。言うと、全部ダメになってしまうような崩れて消えてしまうような気がしてたからだ。 その後、僕は椎名林檎に出会い、ネットで素敵な文字列を生む女の子達にたくさん出会い、そうしてちょっとずつ世界を広げて、アルバムの形を作っ