ポーリン・パーカー ジュリエット・ヒューム Pauline Parker & Juliet Hulme (ニュージーランド) 1954年6月22日午後、ニュージーランドのクライストチャーチ郊外での出来事である。血みどろの二人の少女が泣き叫びながらリッチー夫人の食堂に駆け込んで来た。 「ママが…ママが大変なの!」 「大怪我をしたのよ!」 夫人は二人を落ち着かせ、事情を聞くと警察に通報した。現場にはパーカー夫人が倒れていた。既に息はない。頭部を45ケ所も殴られている。そばには血のついた煉瓦が落ちている。明らかに殺人である。犯人は二人の少女以外に考えられない。何故なら、彼女たちはこの期に及んでも「転んで怪我をした」の一点張りだからだ。頭の傷を問われると「二人で運ぼうとした時に地面にぶつけた」と弁明した。おいおい、45回もかい? 凶器の煉瓦を見せられて、ようやくポーリンが観念した。 「私がママを殴