著: 南波一海 「その街の暮らし」をお題に文章を書かせていただく機会を得た。私が書ける街と言えばただのひとつ、東京は大田区の蒲田しかないので、自分と蒲田にまつわるエピソードを記したいと思う。 私が一人暮らしを始めた経緯は少し変わっているかもしれない。 父は漫画家だった。“だった”と書いたのは、私が21歳の頃に亡くなったからである。青年漫画誌で週刊連載を続けている半ばのことだった。 「モノづくりで生きていくこと」を背中で伝えた漫画家だった父のこと 父の仕事場はJR蒲田駅近くにあるマンションの一室。そこでアシスタントのみなさんと漫画を描いていた。ある時、父の癌が判明し、大手術を行なった後も仕事を続けていたのだが、それ以降、私はアルバイトという名目でその現場に呼んでもらったことが何度かあった。 繁華街からほんの少し外れたところにあるその仕事場で、私はベタ塗りとホワイト塗りを手伝った。小遣いがもら
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