*軍艦島全景① 卒検に合格した翌日、大浜のバス停で福江港行きの始発をまちながら、びゅんびゅんとながれゆくしろい雲をながめていると、あまりのど田舎ぶりにいいかげんうんざりしていたとはいえ、さすがにセンチメンタルな気分になった。空すら見上げない引きこもりの日々にわたしはまたもどるのだろう。あのうつくしい青のグラデーションも、巨大なタイドプールをつくる魔法のような潮の満ち引きも、水面に反射するきらきらした陽光も、しばらくはみられない。そうおもうとやはりせつなくなる。かといってここにとどまりたいわけではなく、これからおとずれる廃墟の島へも同時におもいめぐらせていて、きゅんとしたりしゅんとしたりわくわくしたりそわそわしたり、胸中はふくざつだった。そうしているうちにバスがきて、女子高生とわたしを乗せ、市街地へはこんでいく。長崎へむかう船の出航は7時40分。到着は正午まえだから、午後のツアーに充分まにあ