普通の人が一番だ。 これが私の行き着いた結論だった。 ワンルームマンション一杯にゴミを溜める男はダメだし、チリひとつない部屋に住み私のファンデーションのヨレやマスカラの滲みを即座に指摘するような細やかな人は疲れるし、「いつかビッグになる」が口癖でスタジオ代をせびり、浮気をした挙句に家財道具一式を持ち逃げするようなバンドマンは最悪だし、道をまっすぐ歩くことができず、電柱やガードレールに登りながら移動するような宇宙人とは相性が合わなかった。 とにかく奇人変人はもうまぴらごめんだ。 もっと早く気がつけばよかったのだが、いかんせん私はどうしようもない阿呆なのであった。 私、普通の人と付き合いたい 「普通の人が良い」と鼻息を荒くしていたちょうどその頃合いに、大学で知り合った普通の好青年が私にアプローチしてくれた。同じ大学に通う学生同士の交際。その普通さになんだか感動した。鴨がネギをしょってきた、とい
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