出発点は震災だった。藤原奈央子さん(22)は中学二年生で阪神・淡路大震災に遭い、神戸市長田区の自宅が全焼。友を亡くした。避難所での出会いから沖縄に関心を持ち、人の輪が広がった。昨年九月には沖縄本島で障害者にも利用しやすい民宿の「おかみ」を任された。「形のないものは壊れない。人と人とをつなぐ人になりたい」。被災地でボランティアをして見つけた夢の実現を沖縄で目指す。(宮沢之祐) 藤原さんは生まれも育ちも長田区。家は震災の日の午後、炎にのまれた。一緒に文化祭で演劇をした友達は亡くなった。 通っていた西代中学校に避難し、避難所の運営を手伝った。沖縄からのボランティアが多かった。仲良くなった人と文通が続いた。「長田も沖縄も人が温かい」。誘われて高校入学後、沖縄に家族旅行した。伝統芸能のエイサーを見て感激。その後、神戸のエイサーのグループと出会い、被災者の慰問公演に加わった。 自宅が再建できて、自分は