実は『檮原町』に来たかったのには もう一つの理由がありました。【宮本常一】さんの名著 岩波文庫『忘れられた日本人』のなかの 最も有名な『土佐源氏』のお話の いわば出生地である当地に降り立ちて、その面影 その風土の カグワイを、一度 わが五感で感じてみたかったのであります。 しかしながら 話しの内容が内容なだけに、行き当たりばったりに 慌ただしく通り過ぎるに等しい老生のアプローチでは、それらしきモノも らしき雰囲気のカケラにさえも 遭遇できませんでした。老生は思います。本当は 当地は『土佐源氏の古里』を前面に出すほうが、人々を より惹きつけるのではないだろうかと。これにはたいへん難しい関門がありますが、おそらくは 日本中 いや世界中、実は いつの時代でも どこにでもある人間世界の営みの一つが、ありのまま、素晴らしい 見事な筆致で表現されている 民俗風俗記録・文章芸術作品の まさに頂点に立つ金