髪をまっすぐに伸ばした「ワンレン」に、身体の線を強調した洋服「ボディコン」姿の女性が京都の街を行き交い、日経平均株価がうなぎ上りだった1988年。京都新聞の紙面にこんな見出しが躍った。 「タレントの店花盛り」(5月29日朝刊) 記事は、京都市の嵐山(右京区、西京区)にタレントショップの出店が相次いでいると伝えた。「中之島公園の一角にオープンした五木茶屋」「ビートたけしさんのカレーの店」など4店舗を地図と写真で紹介、「ファンや観光客でにぎわっている」とある。 「前年、たけしさんの『元気がでるハウス』が建ち、次々と増えた」と振り返るのは、嵐山商店街の元会長野田博さん(92)。それまで主に中高年の観光客に愛される静かな場所だったが、ショップの登場で一変。「若者や修学旅行生がこぞって訪れるようになった」 世間はバブル景気に沸いていた。当時を知る人に尋ね回ると、映画の撮影で京都に来ていた芸能人と不動