全国戦没者追悼式の会場に向かう参列者最年長の芹ケ野春海さん=東京都千代田区で2018年8月15日午前9時55分、小川昌宏撮影 昨年に続いて全国戦没者追悼式参列遺族の最年長となった東京都練馬区の芹ケ野春海(せりがの・はるみ)さん(102)は、長男の憲一さん(75)が押す車いすに乗って武道館に入った。「戦争なんて嫌だよ」と言って、ハンカチで目を拭った。 夫の博さんは沖縄本島で自決した。享年31。それから長い年月がたち、当時の…
全国戦没者追悼式であいさつする安倍晋三首相=東京都千代田区の日本武道館で2018年8月15日午前11時54分、宮武祐希撮影 天皇、皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、戦没者のご遺族、各界代表、多数のご列席を得て、全国戦没者追悼式を、ここに挙行いたします。 苛烈を極めた先の大戦において、祖国を思い、家族を案じつつ、戦場に倒れた御霊(みたま)、戦禍に遭い、あるいは戦後、遠い異郷の地で亡くなった御霊、いまその御前にあって、御霊安かれと、心より、お祈り申し上げます。 今日の平和と繁栄が、戦没者の皆様の尊い犠牲の上に築かれたものであることを、私たちは片時たりとも忘れ… この記事は有料記事です。 残り386文字(全文601文字)
本日、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。 終戦以来既に73年、国民のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、苦難に満ちた往時をしの… この記事は有料記事です。 残り149文字(全文299文字)
全国戦没者追悼式に臨む原淳一郎さん=東京都千代田区の日本武道館で2018年8月15日午前10時59分、長谷川直亮撮影 全国戦没者追悼式に初めての参列となった香川県丸亀市の高校2年、原淳一郎さん(16)は、太平洋戦争で母方の曽祖父2人を亡くした。「戦争という過ちを繰り返してはいけない」と誓う。 祖母の父の田中茂さんと、祖父の父の前田馨さんはいずれも1944年にフィリピンへ出征し、ルソン島で戦死した。同居する祖母から度々2人のことを聞かされていたが、幼いころはピンとこなかった。 転機は中学2年の夏。遺族会に参加する祖母に紹介され、県主催の戦没者追悼式で作文を朗読したことだ。作文に書こうと思って、祖母に曽祖父が亡くなった経緯を尋ねると、悲しげな表情に変わった。「どのように亡くなったか分からないが、部隊は武器も食料もなく、悲惨な状況だったらしい」。遺品や骨は帰らず、曽祖父の母は「子どもが先に死ぬこ
平成最後の全国戦没者追悼式が行われる。天皇陛下が「おことば」を発するのも最後となる。即位以来、天皇陛下は終戦記念日には、戦争の記憶への意識喚起と犠牲者への追悼、戦後の平和を尊び未来につなげる意思を語ってこられた。現代史研究の第一人者が「最後のおことば」を読み解く。 平成最後の夏である。まるで日本全土が亜熱帯に入ったような有り様だ。8月の暑さは、終戦を告げる玉音放送と重なる。私自身は当時5歳だからさして記憶はない。強いて言えば周辺の大人たちの間で緊張が解けたような空気が広まったように思う。 しかし、この国にとって8月の記憶は常に羅針盤の役を果たす。今はあの時代と重なり合うことはないだろう… この記事は有料記事です。 残り4492文字(全文4789文字)
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