ヒップホップといえばワルの華だ。オラついた兄ちゃんが攻撃的なリリックでディスとボースティングをぶちまける。そこには暴力的な空気が立ち込めているのだが、このMSCというクルーは、ただのワルとして語って終われない中毒的な魅力がある。 MSCは漢 a.k.a. GAMIを中心として新宿で結成された「未成年含め収集つかねえ十数名からなる格言残す革命結社」である。そのラップは彼らのアングラな生活をひたすらにリアルに描くものであり、それは単に暴力的というに留まらず、どこか病的で虚ろで剣呑とした怖さを感じずにはいられない。 今回その例として挙げたのが、「Alergy feat.志人」という曲だ。冒頭からその病的な魅力が存分に伝わってくるだろう。煙が充満した部屋でハイになった彼らが気だるげに「頭のAlergy 今日もマンチーズ」と歌う。このラップを乗せるトラックがまた不穏で、ボングのポコポコとした音があち