中国軍事力の拡大に備えようとするのは結構。しかしその場合、北の防備はもう無用、重視すべきは今や南西諸島方面だとハナから決めてかかっていいものだろうか。 それから日本の考える洋上交通路(シーレーン)とはいつも中東発インド洋経由で北上してくるものだけれど、中国にとって事情は同じだろうか。人民解放軍海軍が防衛守備したいであろう近未来のシーレーンとは、ほかにないのか。 国後、択捉を持たない不利 向こう10年、中国の交易がどう発展するかを想像することで、上の問いへの示唆を得ることができる。それは同時に、我が国安全保障環境がどれほど一変するかに思いを巡らせてみることともなる。