民主党がマニフェスト(政権公約)で中小企業金融の円滑化を掲げたのに続き、亀井静香金融担当相が中小・零細企業の債務の返済猶予(モラトリアム)を提唱するなど、中小企業金融に関する議論が盛り上がっている。今後はどうあるべきか。現場の実情に詳しい坂本忠弘・地域共創ネットワーク代表(元金融庁)や中村博之・知的資産マネジメント支援機構代表との議論を踏まえ、以下で考えたい。 ◆◆◆ 金融機関が中小企業の期待に応えているかと問われれば、確かに十分に機能を発揮しているとはいえないだろう。それは、近年、中長期的な視点で「生きている企業に融資する」のではなく、短期的な判断で「企業の財務諸表に融資する」傾向が、一段と強くなっているからである。 高いマクロ成長が見込めない環境下で、金融機関が直近の企業の財務状況や資金繰りだけに注視し、担保価値の評価や確認を中心としたリスクマネジメントに終始すると、貸し渋りや貸しはが