そこに集団ヒステリーがくわわると、事態は悪化の一途をたどった――その悪質な例としてあげられるのが、合衆国におけるマッカーシズム現象である。わたしのようにマッカーシズムが猛威をふるった1950年代に中東から合衆国にやってきて少年時代をすごした人間には、その後、このマッカーシズムから妙に陰険な知識人層が生まれてきたという思いが強いし、彼らは今日にいたるまで、内憂外患に対して危機感をあおりたいだけあおっている。この種の現象はすべて、自家中毒的に生み出された辟易する危機意識にもとづくものであり、それはまた、事故批判的分析はいうまでもなく合理的分析すらも踏みにじるような、無知蒙昧なマニ教的二元論の勝利でもあった。 ――E.サイード『知識人とは何か』 かの週刊金曜日が掲げた「原発文化人」のリストを見たとき、私の脳裏をかすめたのはマッカーシズムと赤狩りでした。そうでなくとも選挙報道などでは、○○は原発推