日本の子どもの六人に一人が貧困状態にある-。こう聞いてどう思われるだろう。初めて子どもの貧困問題が注目されたのが二〇〇八年。五年以上がたった。この間、対策法が成立し月内には具体策を定めた大綱もまとまる。だが、子どもの貧困率は悪化している。警鐘を鳴らし続けてきた国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩(あや)さんを訪ねた。 取材当日、国が一三年の子どもの貧困率を発表した。平均所得の半分を下回る世帯で暮らす十八歳未満の割合。それが過去最悪の16・3%に達した。それを見て、阿部さんは「以前は皆『どこの国の話?』という反応だった。それに比べれば問題意識は広まったでしょう。でも浸透しているかというと…」