池上彰『高校生からわかる「資本論」』 これはわかりやすい。 「週刊こどもニュース」の解説者だっただけある。 池上の本はこれ以外にも買ったことはあるが、通俗的な解説をさせるなら異様にわかりやすい。本書もその例にもれなかった。 率直に言って、前後についている「社会主義の失敗」についての結論は通俗的であるがゆえに、左翼のぼくはいただけない。しかし、通俗的な解説を求める人ならこれで「OK」なのだろう。まあ、この部分は目をつぶろう。 肝心なのは『資本論』本文だ。 ここの解説がわかりやすい。 方法としては、『資本論』第一部の中身で、価値論から原始的蓄積にいたるまでのポイントになる原文(もちろん日本語)を抜粋し、現代の問題をからめながらそれをわかりやすい言葉で解説するというものだ。 的場昭弘の『超訳「資本論」』(祥伝社新書)はこのタイプであるが(あとがきをみると、池上は本書執筆にあたって的場に〈貴重なア