柊あおいさんの『耳をすませば』。少女漫画の古典的名作であり、スタジオジブリによって映画化もされているので、ご存じの方はきっとたくさんいらっしゃるでしょう。かつて少女だった人なんかには、今も人気の高い作品です。 この作品が人を引き付けるのは、ヒロイン雫と、天沢聖司との出会いのきっかけ、その仕組みの妙でしょう。図書館で借りた本に見つける「天沢聖司」の名前。自分の借りる本のほとんどに彼の名前を見つけ、自然彼に興味を引かれていく雫という構図は、非常に自然で、しかもロマンティックです。 こういう出会いに憧れ、自分の借りる本に私の「天沢聖司」を探そうとした人も多いのでは? でも、探せなかったはずです。だって、本に挟まれている貸出カードには、本を借りた人の名前なんて書かれてません。 いや、私が借りた本の後ろには、自分の名前を書くカードが入っていた。そう主張される方もいらっしゃるかも知れません。でも、この