日本と韓国は、葛藤を乗り越えられないまま、2021年の歩みを始めた。一人の韓国人女性が名乗り出て、慰安婦問題が再発見されてから30年。冷戦終結後の急激な変化の時代にあるべき関係を模索しながらも、いま日韓は最大の不協和音の中にある。「諦め、絶望するのはたやすい。だが次世代のために共存の道を探りたい」――。「帝国の慰安婦」などの著書で知られる韓国・世宗大の朴裕河(パク・ユハ)教授の連載「和解のために 2021」をお届けする(毎月、上・下2回に分けて掲載)。 「学問の政治化」のつけ 日韓関係の悪化が憂慮されて久しい。日本で首相が代わった時、それをきっかけとして新たな展開を期待する向きもあったが、当分は難しいのではないだろうか。なぜなら、対立している問題をめぐる正確な理解が両国に十分あるとはいえず、しかも問題の所在を共有していないからだ。 たとえば、日本には日韓関係悪化の原因を文在寅(ムン・ジェイ