日本帰省するたびに、実家の料理道具を運んでくる。 料理好きな両親だが、年をとるにしたがい、大きいものや重いもの を少しづつ手放している。そして、私にお声がかかるという パターンだ。 蒸し器の引継ぎを提案されたときは、嬉しいような寂しいような気もちがした。 あんなに活躍していた蒸し器なのに。あんまんや肉まんをふかす懐かしい情景が 目に浮かぶ。 40年ほど前、母が日本橋のデパートで行われた職人市で買ってきた蒸し器。作りが しっかりしているのはもちろん、網目の美しさもさすが日本の職人さん技です。 もちろん、喜んで引き継いだ。 とても愛着ある道具なので、機内に手荷物で運んだ。 その日、JAL機内食で「チーズとオレンジピールの蒸しパン」 (日仏食文化の融合とかいう機内食テーマだった)がおやつに出て、 おもわずニンマリしてしまったことを覚えている。家に着いたら、早速マネして 蒸し器のデビュー作は「チー