私たちは会話をするとき、つい自分のことを話したがります。なぜなら、人間は自分の声を聞くこと、何より誰かに自分のことを聞いてもらうことに喜びを感じるから。 この喜びは、一体どこから来るのでしょう。 それは自分のことを口に出すことによって、自分自身をより深く理解できるという点にあります。自分の望みや感情を話しながら整理し、自己を明確化する。このことに、私たちは深い喜びを覚える生きもの。 このように、話すことで自分を理解できることは明白ですが、それだけが自己を知る方法ではありません。私たちは他人の話を聞くことで、その中に自分を見つけ、今まで気付いていなかった自分自身に気付くことがあります。 文学がその良い例でしょう。トルストイやプルースト、ヴァージニア・ウルフなど、私たちが人の書いた小説を読むことに喜びを見出すのは、物語の中に自分自身を見つけるからです。 プルーストは、このような言葉を残しました