サービス産業の生産性向上は、人口減少下の日本経済の持続的成長にとって最重要課題とされており、昨年発足した「サービス産業生産性協議会」が、サービス産業の生産性向上を具体化するための多様な活動を展開している。i 我が国サービス産業の生産性は低いというのが通念となっており、確かに集計レベルで見る限り90年代半ば以降広範なサービス産業で生産性の加速が見られた米国と対照的である。しかし、産業内でも企業による異質性が高いことに注意する必要がある。また、生産性には、労働生産性と全要素生産性(TFP)、水準と伸び率、何と比較するのかなど多くの側面がある。サービス産業の生産性向上のための適切な「治療」を立案・実行するためには、その前提として的確な「診断」が不可欠である。そのためには、産業レベルに集計された平均値を観察するだけでなく、企業・事業所などマイクロレベルでの丁寧な分析が必要である。 本稿では、日本の