図書館における紙資料の実物保存 1. はじめに IFLA(国際図書館連盟)の定義によると、「資料保存」は実物保存と媒体変換の2つの方法で実践することができるのであるが、本稿ではそのうち、紙資料の実物保存に関する2003年以降に刊行された国内の研究文献等を主な対象としながら、必要に応じてそれ以前の文献も引用しつつ、この分野の現状・動向を紹介することを目的とする。 日本においては、資料保存器材が運営しているブログ「ほぼ日刊資料保存」(1)などで動向が紹介されてはいるものの、「(図書館における)資料保存」という分野を独立した専門として扱う学術機関誌が殆どみられない。本稿では、IFLAにおける方針の推移などをふまえた上で、資料保存に関連する自然科学的手法を用いた論文等を諸学会の研究機関誌から抜粋し、研究論文以外には、各図書館における活動内容の事例報告も取り上げつつ、過去5年間、転換期を迎えた資料
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