研究に私費3000万円を投じた『全国マン・チン分布考』で、全国各地の女性器・男性器の呼称を徹底的に調べ上げた松本修さん 『全国マン・チン分布考』(インターナショナル新書)は、日本全国各地の女性(および男性)の性器の呼称を丹念に調べ上げた言語学の金字塔とも言うべき一冊である。 著者は、かつて『全国アホ・バカ分布考』(新潮文庫)で壮大な分布図を完成させた松本修氏。今回のマン・チン分布考でも、全国各地の呼称をマッピングすると、アホ・バカのときと同様、京都を中心に幾重もの同心円が浮かび上がり、完璧な「周圏分布」を示していた。 つまり、関東における性器の表現と関西のそれは単なる地域性、方言の違いではない。京都で誕生した言葉が長い年月をかけて遠隔地に伝わっていき、京都では別の言葉が用いられるようになって以降も各地に古い言葉が残ったのだ。この研究に松本氏は私費3000万円を投じたという。何が彼を前人未到