スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫さんの娘である、麻実子さんの連載が始まります。第1回は、みなさんも聞いたことのある、あの名曲の歌詞の誕生秘話です! 「まめ、作詞してみる?」 リビングでくつろいでTVを見ていた私に父が突然そう聞いてきたのは、私が18歳の頃だった。 私は開口一番「ギャラいくら?」と言ったらしい。言ったらしいというのは、当の私は覚えていないからだ。 父にいつもこのときの話をされるのだが、「そんな図々しいこと言うかな私……」といまだ半信半疑だ。もし言ったとしたら冗談で言ったんじゃないかと思うのだが、父は「あれは真剣な顔だった」と言い張る。 私の名誉のために言っておくが、私はもっと謙虚な性格だ。少なくとも自分ではそう思っている。 その台詞を言ったか言ってないかはさておき、私はそのとき実は、内心はっとしていたのだ。 私は中学生の頃から詩を書くのが好きで、毎日いくつもの詩を大学ノ