10年以上にわたり素粒子の世界に携わり続けている理系ライター。中でもニュートリノに強い興味を持っており、その不思議な性質を日夜追いかけている。今回は量子力学の特異性を観測できる二重スリット実験についてまとめた。 二重スリット実験は、原子や電子といった量子力学で扱うような粒子には、粒子としての性質と波としての性質の両方が備わっていることを直接示すものです。元々は光の性質を調べたヤングの実験を、電子のような素粒子で試すとどうなるか、という思考実験でした。ところが、実験技術が進歩していくのにしたがって、電子だけではなく様々な粒子や手法で実際に実験が行われるようになりました。 まずは二重スリット実験の元になった、ヤングの実験について紹介していきますね。先ほども言いましたが、ヤングの実験というのは、光の性質を調べるための実験です。中でも、波であること(波動性と呼びます)を検証するために行われました。
