二十歳すぎに読み、人生に大きな影響を与えたこの本を約二十年ぶりに読み返してみた。 ショーペンハウアーは社交する人間を低級なものとしておとしめ、精神的・哲学的な生活を最高なものとして孤独な生き方をすすめた。社交する人間には精神的な能力がないために他人や社交に頼るしかないのだと批判した。 われわれはぎゃくに学校生活で友だちがいない人間は仲間外れで、嫌われ者、のけ者にされたものとして嫌悪や不快の感情をいだくように訓育されてきた。それ以外の考え方や捉え方はできないような状態のなかで、友だちづきあいに至上な価値をおいた生活をおくってきた。 だからショーペンハウアーのその価値を転倒させた考えにはひじょうにカウンターパンチを喰らった。わたしはもうべたべたして友だちづきあいとか、集団生活とかから距離をおきたいと思っていた。ひとりになりたかった。 ショーペンハウアーは孤独を好むことを推奨し、群れる人たちに軽