なんとなく日本の社会構造を時系列で観察していると、大衆文化とエリート文化で大きな乖離があることに思い至った。 だいぶ薄れてきはしたが、日本のエリート文化が武家社会の継承者であることは、現在の政治家たちの苗字を見てもわかるだろう。対して日本の大衆文化はアジア全域にある農村モデルのそれであり、おおむね女性上位だった。 実際のところ今現在「伝統的日本」とやらが指し示す戦後サラリーマン文化を思い起こしても、たいていの家庭は妻が家計を牛耳り、夫は自分の稼いできたサラリーを妻にすべて渡してそこから「小遣い」をもらう、というのが一般的であった。俗に言う「かかあ天下」というのがアジアの農村スタイルといえよう。 もちろん明治維新に伴う戸籍制度の徹底など、武家社会の常識が大衆になだれ込んだところは否めない。よく言われる「男を立てる」といった風習も、家庭内では農村的かかあ天下であっても外では武士のような男性優位