爆発的な人気を誇るブラウザゲーム『艦これ』のアニメ化。制作スタッフが公表された際に漠然とした不安感が漂ったものの,それを帳消しにするようなキャラクターデザインの優秀さで,放送前の期待値は非常に高かった。しかしいざ蓋を開けてみるとそこに望んだものはなく,最終的には黒歴史と称されるまでになってしまったのである。 その原因といえる人物を絞り込むならば,田中謙介,草川啓造,花田十輝の三者ということになるのだろう。 主軸が「吹雪が精神的に成長する王道青春モノ」であったことには疑いの余地はない。仲間の死や苦悩と葛藤,挫折,空回りの努力と親友との衝突を経ての気づきと成長。このように抽出してみると,1つ1つの要素に誤りはなかったといえる。問題があったのはその構成であり,その背後に用意されていた着地点である。 「最終話で史実を塗り替える」というプロットが完成されている以上,そこに至るまでは史実に忠実でなけれ