わが家に住まう2歳半男児の遊戯がさいきん熾烈を極めている。 具体的には、トミカという小型自動車模型を両の掌に握り締め、「盤」や「丼」または「土管」などと叫び、発狂してそれらをもてるかぎりの力にまかせて衝突させる、といった行為である。 これに異を唱えたのは彼の母であり、私の妻である30歳女性。彼女は以下のごとき陳述をした。 「当節、かくなる乱雑な遊戯がしきりに見受けられる。なにか精神情緒の不安があるのではないか」 なので私は答えた。「心配御無用。なにを隠そうこれは男の遊びである」と。 生誕2年と半年にもなれば男女間での遊戯のちがいが発生する。そう思ったのは先前、わが家の2歳息子とほぼタメの女人が、ちいさなベビーカーにカワウソちゃんのぬいぐるみを乗車させ、ころころと近所を徘徊していたのだ。つまりこれは「おかあさんごっこ」なるものであり、母というペルソナ、女性という「型」を模した女性的遊戯であっ