欧米で最大の社会問題は、若年失業と就業促進だ。それゆえ、負の所得税やベーシックインカムが提案される。しかし、日本には、雇用の量の問題はない。あるのは非正規労働者への差別的待遇だ。したがって、第一に考えるべきは、いかに社会保険の適用拡大を図り、公平な給付を実現するかになる。例えば、パートは、事実上、育児休業給付を受けることも、乳幼児を保育所に預けることもできない。こうした苦境を、どう変えるのか。この国に財源はある。ないのは現実に根差した理想である。 ……… 問題を解決するために、公的年金を財源として、0歳の始めの6か月間は月14万円、その後、2歳になるまで10万円を給付してはどうか。総額では1人264万円になる。老後に受け取る年金の約1割を、前倒しで受給する形を採れば、新たな負担はまったく必要ない。むろん、受給したくない人は、選ばなければ、従来どおりである。この額は、正社員が雇用保険から受け