日焼けした顔に精悍(せいかん)さが漂う。日本リーグ時代の日立製作所で、2度得点王に輝いた松永章さん(60)は、「まだボルトが入っている」と骨折した鎖骨を指さした。〈走る日立〉と呼ばれ、泥臭さがチームの持ち味。「西野は自分を生かし切れなかったなぁ」と、後輩のプレーを回想する。 甘いマスクにすらりとした長身。西野監督の現役時代、司令塔として華麗にパスを通す姿に女性ファンが沸いた。早大では日本代表として36試合に出場。独・ケルンへ短期留学した際も、技術の高さが注目された。 しかし、日立製作所2年目以降、代表との縁もぷっつり切れた。天才的なプレーの陰で、どこか消えない線の細さ。松永さんは「屈辱を味わったと思う。こんなはずじゃなかったって」。 指導者として、甘さを捨て去った。グループリーグ1試合を残し、1位通過を決めたアジアチャンピオンズリーグ。若手に出番を与える絶好の機会となった20日の最終節・F