NBOnline 第3回 「対話」を重んじ、率先垂範の改革で松代藩を救う 恩田木工民親 恩田木工は勝手掛に就任するにあたり、有能な人材を登用し組織を再編成することで、改革を強力に推進する体制を構築することに力を入れた。 恩田木工は、成沢勘左衛門、禰津(ねず)要左衛門の若手家臣2人を抜擢。「勘定吟味役」のポストに据えた。このポストは主に会計監査を担当する役割であるが、恩田木工はその職掌を大幅に拡張する。全ての役所の経費支出をチェックし、使い方にまで介入する権限を与えた。成沢・禰津はまず、ずさんな管理のため実態が掴めなくなっていた藩財政の状況を徹底調査。恩田木工はこれにより藩の収入や借金、御用金などの正確な数字を把握し、問題を「見える化」することで、改革の方向性を固めていったのである。 さらに恩田木工は、松代藩の役人たちに対し、自分の改革方針を、成沢・禰津両名を通じて役人組織の末端にまで浸透さ