Sパラメータの基礎 1. Sパラメータの必要性 電磁エネルギの移動は、すべて電磁波の伝搬として実現されますが、 電磁波は回路の特性インピーダンスの一様性が失われた場所で反射しますから、 回路内には無数の反射波が存在し、 電磁エネルギの分布とその時間的変化はかなり複雑です。 しかし、周波数が低く、 部品の大きさが信号波形を構成する周波数成分の波長に比べて十分小さい場合は、 反射波の影響は信号が変化する時間に比べて、 極めて短時間でなくなりますから、 定常状態としての部品内部の電圧と電流が一様になり、 その電圧、電流の比としての「インピーダンス」で 部品固有の特性を表わすことができます。 ところが、高周波の部品や回路では、 部品内部の電磁波の伝搬速度に比べて部品の大きさが無視できませんから、 部品内部に於ける電磁波の進行波と反射波の干渉の一様性が失われ、 定常状態の電圧と電流とその比が部品固有