「懺悔の書」「改革派の転向」。さまざまな話題を呼んでいる中谷巌氏の『資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言』。新自由主義が注目されれば構造改革の旗を振り、貧困や格差が問題になれば、昔が良かったと憂いて見せる、見事に社会の空気を読んだ風見鶏ぶりに、飽きれると言うより、感心すらしてしまいます。 ハーバード留学時代の思い出、率直な反省は興味を持って進みましたが、ブータンやキューバ礼賛あたりでずっこけはじめ(田舎にやってきた都会の人が、「こんなすばらしいところがあったのですね」と言いながら住むことはない、という旅の思い出レベル)、途中からは世界の宗教や神話をつぎはぎしてトンデモ本の様相に。 日本の安心・安全、高信頼社会や社会資本の話も出てきますが、「日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点」を参考文献に挙げているにもかかわらず、日本は高信頼社会で中国はダメとか