上京して6年目、高層ビルも満員電車もいつしか当たり前になった。日々変わりゆく東京の街で感じたことを書き綴るエッセイ。前回はこちら。 ミルクアイスのせシナモンフォッカチオ、319円。 サイゼリヤのメニューを指差して「久しぶりにこれ食べようかな」と言うと、大学時代のサークルの後輩も「あ、私もこれにしようと思ってました」と笑った。数年前まで、私たちはよく大学近くのサイゼリヤで、ミルクアイスのせシナモンフォッカチオを食べていたのだった。 あの頃と違うのは、今いるのが当時通ったサイゼリヤではなく、奥渋のサイゼリヤだという点だ。渋谷駅からセンター街を抜けて東急ハンズを過ぎたところにあり、正式には「サイゼリヤ 渋谷東急ハンズ前店」だが、ここでは奥渋のサイゼリヤと呼ばせてほしい。なぜなら今日の私は、奥渋というエリアにこだわりがあるからだ。 事の発端は、 私が最近ハマっているドラマ『デザイナー 渋井直人の休